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パブリックアートと傾いた弧事件

2007年03月17日 20:51

パブリックアートとは街中に置かれたアートの作品のことを指します。特に現代アートでは1930年代のアメリカ政府のアーティストを救おう計画(FAPと呼ばれ、多分ニューディール政策の一部)が大きな影響を与えています。

この計画では景気回復のために街を飾ろうではないか、と言う目的もあったようですが、それよりもアーティストの救済に大きな役割がありました。不景気な国ではアートが遅れがちになるのは想像に難くないですが、その頃のアメリカも不景気(大恐慌)のためたくさんのアーティストが働く場所に飢えていました。

そこで政府自身がアーティストに委託し街中に大きなモニュメントなんかを作らせたのです。政府が委託をすると言うことは、当然出費は税金で賄われることになります。現代のパブリックアートは委託・制作費・場所など全部がパブリック(公的)というのが特徴でもあります。

1980年代にリチャード・セラも、そのようにして公的に依頼を受けて作品を作りました。その一つが「傾いた弧(Tilted Arc)」です。

セラは公的な建物のエントランスに置かれるスカルプチャーの依頼に応え、Tilted Arcをデザインし設置したのですが、それは鉄の板でできた高さも長さも壁のように大きく、しかも傾いているという物でした。そこの建物を使う人、その場所を通る人からは、じゃまで仕方がない、傾いているので怖い、鉄なので錆がでてそれが目に入る、などの苦情を受け、とうとうそれの排除に対して訴訟にまでなったのです。

セラはTilted Arcを、人々の動きが景色の変わり方と連動することを証明することや、大きな鉄の塊に対する人の心のリアクション(マテリアルの特徴を感じる)を引き出すことができる作品だと言い、それを排除することに反対しました。

しかし結局セラはGSAの妥協案である「場所を移す」ことには賛成せず、自らその作品を廃棄してしまいました。「この場所に置かれるように作ったのだから、他の場所では成り立たない」と言うのが彼の廃棄の理由でした。(*この考えはサイトスペシフィックアートに繋がりますが、それについては後で書くことにします。)

アーティストの端くれである自分が言うのもおかしいのですが、確かに「このような物に税金を使うのはよしてくれ」と思うようなスカルプチャーが街なかにあるのは確かです。役に立たないばかりか、危険を伴ったり、通行のじゃまになったり。しかし、便利さだけを求めて街中のアートを排除していくのも悲しいような気持ちになります。

みなさんは、このTilted Arc事件をどう思われますか?

author:oldgold
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    パブリックアート・マンハッタンの6番街55丁目にある、ロバート・インディアナの『LOVE』。東京の新宿アイランドタワーに同様の作品があるが、VとEの字の間に挟まらず通れると恋が成就するなどの噂が広まりデートスポットと化すなど、日本独自の受容が見られるにある、アン



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